いよいよ今回でレースのご紹介も最後です。最終回はニードルポイントレースとシェットランドレースをご紹介します。
ニードルポイントレースはニードルポイントと混同されがちですが、ニードルポイントは刺繍の技法でニードルポイントレースとは違います。 ニードルポイントレースとは針レースの一種でかがる技法のレースですが、その起源は中世イタリアのベネチアに遡ります。元々はボタンホールステッチを中心とし たカットワークの技法を応用して作られた物です。ボビンレースはレースの王様と言われているのに対して、ニードルポイントレースはレースの女王様と呼ばれています。上の画像はアンティークレースです。 最初の頃はあらかじめ土台となる布の縦横の糸を数本残して大部分を引き抜き、ボタンホールステッチでかがりながら作られていましたが、現在では土台の布に芯となる糸をあらかじめ図案の輪郭に沿って渡してお き、その芯糸にボタンホールステッチを施し、さらにその中を様々な技法でステッチし最後に芯糸を土台からはずして作ります。中のステッチはバテンレースのステッチをさらに細かくしたような感じのものです。 右の画像はそのようにして私が作った作品です。ボタンホールステッチを緻密にしなくてはならないので、非常に時間がかかります。 18世紀のフランスで作られていた物をアランソン、19世紀に入ってベルギーに渡りそこで作られた物がポワンドガーズと言います。ボビンレースとは違って、草花などの具体的な柄が自由に表現できたことも、ニードルポイントレースの特徴のひとつです。 このような緻密な作業によって作られたのでひとつのレースを完成させるのには膨大な時間がかかりました。実際にレースを身に付けることが出来たのは、本当に限られた一部の人々いわゆる王侯貴族だけでした。 一方シェットランドレースですが、土地のやせた気候の厳しいシェットランド島では、農業に頼る事が出来ないため、17世紀頃には編物がシェットランド島の主要産業になり、その頃シェットランドレースも編み始められたといわれています。 シェットランド島の羊は厳しい寒さに耐えるため、非常に柔らかい毛を持っているので細く紡いだ糸で編むシェットランドレースにはとても適しています。 またベール、ストールなどは王室に献上されていました。 ショールはセンターといわれる中心の部分、エッジといわれる縁飾りの部分から出来ています。はじめにエッジを細長く編みそこから拾い目をしてセンターを編んでいきます。 2本の金属の棒針で編みますがニッティングベルトをウエストに着用し棒針の先端を固定して編みます。編み方は母から子へと伝えられたので編み図は全くありませんでした。 編みあがったショールは丁寧に洗い、木枠に糸で張り、形を整え乾かします。 しかしこの方法は非常に大きな木枠が必要となるため、今日ではカーペットにピンで留める方法を使用しているデザイナーもいます。 残念ながら私はシェットランドレースは編んだことが無いのですが、最近は嶋田俊之先生がフェアアイルと共にこのレースも紹介してくださっていて、本も出ていますのでそのうち是非編んでみたいと思います。嶋田先生の本はこちらで購入できます。 上の画像はこちらのサイトとこちらのサイトからお借りしました。
by amibito
| 2007-02-16 00:33
| レース編み
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